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多胎ママは、泣き止むまでずっと抱っこもしてあげられないときもありますよね。
かくれんぼをしたり、おもちゃをならしてあげる力が残っていないときだって……。
時には、子どもたちの命をつなぐことで精一杯に思えるときだってありますね。
そんな多胎ママたちにも、「わたしはちゃーんとやったわけだ」と思ってほしいです。
うんうん、みなさんもう十分ちゃーんとやっておられますよ〜。
そして、ほんの少し助けてくれる人がいれば、多胎ママだって、もっと歌を歌ってあげることもできるようになるんです。多胎家庭のママもパパも、子どもたちとの時間を穏やかに過ごせるようになることを願って、私たちはこれからも活動していきます。
『今日』 訳: 伊藤比呂美 画: 下田昌克 出版社: 福音館書店
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『今日』 (伊藤比呂美 訳)
今日、わたしはお皿を洗わなかった
ベッドはぐちゃぐちゃ
浸けといたおむつは
だんだんくさくなってきた
きのうこぼした食べかすが
床の上からわたしを見ている
窓ガラスはよごれすぎてアートみたい
雨が降るまでこのままだとおもう
人に見られたら
なんていわれるか
ひどいねえとか、だらしないとか
今日一日、何をしてたの? とか
わたしは、この子が眠るまで、おっぱいをやっていた
わたしは、この子が泣きやむまで、ずっとだっこしていた
わたしは、この子とかくれんぼした。
わたしは、この子のためにおもちゃを鳴らした、それはきゅうっと鳴った
わたしは、ぶらんこをゆすり、歌をうたった
わたしは、この子に、していいこととわるいことを、教えた
ほんとにいったい一日何をしていたのかな
たいしたことはしなかったね、たぶん、それはほんと
でもこう考えれば、いいんじゃない?
今日一日、わたしは
澄んだ目をした、髪のふわふわな、この子のために
すごく大切なことをしていたんだって
そしてもし、そっちのほうがほんとなら、
わたしはちゃーんとやったわけだ
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